雨が止んだ。
窓を開ける。
すうっと、空気が入り、肌につく。
きのうの話を思い出す。
散髪屋に行った時の話。
カットしてくれたのは、アラフィフとおぼしき女性。
ショートカットでメガネスタイル。
「久しぶりですね」
「いや、一ヶ月くらいかなぁ」
「じゃあ、ちょうどいい頃ですね」
「そう、今日はちょっと短めにね」
「いつも通り、刈り上げはなしで、2センチくらい?」
「うん、それくらい」
「最後は、すきますか?」
「うん、すいといて」
カット時間は、10分くらい。
そんな短い時間が好きだ。
そんな、あっさりした人づきあいがいい。
「ありがとう、ではまた」
「また、お待ちしています」
窓からの湿った空気が、短くなった髪の毛に触れる。
冬ともお別れ。
湿った空気が、それを告げる。
人との出会いも、人との別れも、
四季のように、あっさりしていたらいいのに、と思う。
しばしお別れ。
でも、またいつか逢うでしょ。
さようなら。