2輪館に行った時の話。
特に買うものがなくて、ぶらっと店内を見て、
さぁ帰ろうかと思った時に、
ひとりの女性から声をかけられた。
「あ、すいません。このカブ、かっこいいですね」
と言われ、
ちょっとびっくりして見たら、
まだ二十代だと思われる若い女性だった。
「あ、どうも」
と、ちょっと照れて言うと、
女性は、カブの荷台に取り付けてあるカゴを指して、
「そのカゴ、どこで買えますか? あ、あの、わたしもカブに乗っていて、そのカゴが、とてもいいなと思いまして」
と言って、
少し離れたところに置いてある、クリーム色のカブを指差した。
「あぁ、そうですか、どうも。 このカゴは、○○というホームセンターで買いましたよ」
と答えた。
「ありがとうございます。今度、探してみます」
と言い、
「何年くらい、カブに乗られてますか?」
と聞かれたので、
「いや、僕はまだ2年くらいですよ。ふだんは、他のバイクばかり乗ってますので、そんなにコイツには乗ってないんですよ」
と言うと、
「あ、そうなんですね。わたしもこの前、大型を取りに行って、もう一台、あるんです」
と言った。
それで、ちょっと興味を引いたので、
「もう一台って、何に乗ってるんですか?」
と聞くと、
「ホンダのNCってバイクです」
と、女性は答えた。
「あぁ、そうですか、いいですね」
と言うと、
「良く、この店には来られますか?」
と聞かれたので、
「わりと近いので、たまに寄りますよ」
と言った。
そのあと、お店の話やら、ツーリングの話やら、2、3分ほど喋った。
この女性は、同年代のお連れがいたみたいで、
クリーム色のカブの横に、中型と小型のバイクが停まっていた。
「では、また機会があれば」
と言って、
女性は、お連れさんのもとへと帰って行った。
バイクブームなので、女性ライダーを良く見かける。
昔のバイクブームとは違い、現代は、
『男の趣味に参加している』
といった、よそよそしい感じはまったくない。
みんな生き生きと、
そして、堂々とバイクライフを楽しんでいる。
そして、男ばかりのグループみたいに、汗くさい印象がまったくないのだ。
バイクはもう、『男の趣味』とは言えないかもしれない。